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Biodiversity

オーストラリアの絶滅危惧植物を救う生活

2011.06.14 平澤 直子

シドニー郊外のブルーマウンテン。約90種のユーカリが自生し、ユーカリの成分で山全体が青く見えるところから、そう呼ばれる (c)Hirasawa Naoko

5月24日に行われた「緑の薬箱を救え!」プロジェクト(※)の第2回グリーンゼミ。今回のプレゼンテーションは、プロジェクトリーダーの村上志緒さんが訪れた、オーストラリア、シドニー王立植物園(The Royal Botanic Garden Sydney & the Domain)発、「絶滅危惧植物を救うために暮らしの中でできること」でした。

オーストラリア環境省によれば、オーストラリアの植物種のうち47種は既に絶滅し、さらに1294種が絶滅の危機にさらされているといいます。そんなオーストラリアですから、同植物園には希少および絶滅危惧植物エリアがあり、同植物を守るための具体的指針が記された看板まで立てられています。

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具体的指針が記された看板 (c) Murakami Shio


村上さんによれば、その指針は以下の4つ。
1. 歩こう。自転車に乗ろう。公共交通機関を使おう。車から出る有害排出物はオゾン層を破壊します。
オーストラリア国土交通省によれば、2006年の温室効果ガス排出量の12%が道路交通によるもの。国民が指標に従って排出量削減に貢献できれば、温室効果ガスによる気候変動が食い止められ、ひいては植物の絶滅を避けられるというわけです。

2. お風呂や洗濯、キッチンやお庭で、水を上手に使おう。それが究極的には山の渓流を救うことになるのです。
オーストラリア統計局によれば、2008-09年の降水量は519ミリと、およそ1700ミリといわれる日本の3分の1以下。水不足のオーストラリアでは、節水は人々の生活に根付いていますが、一方で、植物の成長にも水は必要不可欠なもの。自分達だけでなく、植物のためにも節水を、ということが謳(うた)われているわけです。

3. 自然の植生を壊さないようにしよう。雑草を抜き、地域固有の植物種を守ろう。
オーストラリアへの白人入植から240年余。オーストラリア環境省によれば、彼らによって持ち込まれた約2万8000の外来種のうち、2700種が帰化し、雑草と化しています。これら雑草の侵襲(しんしゅう)性は非常に強く、いつの間にか野生化するケースが全体の3分の2にも上り、オーストラリア固有種を絶滅へと追い込んでいます。国民一人ひとりが自分の家の庭の雑草を抜く。実はこれが、オーストラリア固有種保全への近道なのです。

4. 紙、ガラス、金属、プラスチック、有機ごみをリサイクルしよう。リサイクルは天然資源を守る助けになるのです。
オーストラリア環境省の作成した、オーストラリア生物多様性保全戦略によれば、天然資源の非持続的使用および管理は生物多様性を脅かすひとつの要因となっています。リサイクルによって天然資源を守れれば、それはひいては生物多様性を保全することになる、というわけです。

一見難しそうな絶滅危惧種の保全ですが、このように、毎日の生活の中でできることがたくさんあります。このうちいくつかは、日本にも当てはまるもの。是非日本でも実践していきたいものです。

※薬用植物の絶滅危惧について考え、行動していくプロジェクト。グリーンフラスコ研究所(世田谷区)とトトラボSchool of Herbal Medicine(神奈川県川崎市)の共催。



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オーストラリア (アジア/オセアニア

平澤 直子